2008年02月20日 08:08
あれは去年の夏のことでした。
試合は、ことらたち4年生以下の大会の決勝戦。
ことらに代わって、4回からマウンドにはT君が上がっていた。
ピッチャーのT君は、ことらとは小学校は違うが、幼稚園が一緒で、とても仲良しだった。
卒園後は全く会う機会もなかったのが、ことらがチームに入ったときに偶然再会。
彼は三つ上のお兄ちゃんに誘われてチームに入っていた。
左利きの彼は、野手としては???だが、ピッチャーとしては指導者からも期待されていた。
そんなT君、前日の試合では先発するものの、三連続フォアボールで1死も取れずにことらに代わっていた。
これには理由があった。
予定では試合はチームのホームグラウンドで行われるはずが、急遽、不慣れな球場に変更。
どうやら、これに動揺してしまったようだ。
この日のマウンドは予定通り、ホームグラウンド。
先発のことらは3回を無失点に抑えていたので、おそらく監督はT君に自信を回復させるために登板させたのだと思う。
注目の先頭打者、ところが・・・
いきなり右中間を破る3ベース。
大量リードはあったものの、嫌な空気が漂う。
そして、T君も・・・
その時だった。キャッチャーのR君が、大きな声でハッキリと言った。
「T、いいよ、いい球だったよ! いい球だから打たれたんだよ!」
いい球だから打たれたんだよ・・・、なかなかとっさに出る言葉ではない。
矛盾してるようにも聞こえるが、ピッチャーの不安を取り除く、素晴らしい言葉だと思う。
この日のT君の一番の心配は、「ストライクが入るか」だったと思う。
ストライクは入ったが、あっさり打たれた・・・、どうすれば・・・。
そんな不安な気持ちになったかもしれない。
R君は、そんなT君の気持ちを察して
「ストライクはきている、大丈夫だ。俺のミットめがけて思い切って投げて来い!」
と伝えたかったに違いない。
T君は、このあと崩れることもなく、2回をピシャリと押さえ、チームは見事に大勝した。
でも、R君のあの一言がなかったら、試合には勝っても、T君はさらに自信を無くしてしまっていたかもしれない。
R君は、小さい頃から野球が大好きで2年生からチームに入った。
ことらとは1年生の時からずっと同じクラスだ。
ことらがチームに入るときも誘ってくれた。
毎朝ランニングを欠かさず、ことらなんかよりも、ずっと野球に真剣に取り組んでいる。
野球が上手くなろうと頑張っている。
R君はきっといいキャッチャーになるだろう。
ピッチャーの気持ちが分る、素晴らしいキャッチャーに。




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